五年ぶりの訪問だった。新規開店して、１月を経た頃、すぐに訪問していた。ある方から蕎麦の話を沢山しましょう、と誘いを受けた。どこがいいですかと聞かれ、だったら、山介にしたいと僕が指定した。店主がこの数年で、沢山の人たちと交わり、技量を上げていたことを知っていた。トマトを練りこんだ平…… more 打ちそばをネットで見ていて、それを試してみたかった。前菜、これを見たときに、その深化が見えた。 話は蕎麦のことに終始していた。これほど蕎麦や蕎麦農家のこと、蕎麦の亭主たちのことを話したのは久しぶりだった。その方は雑誌のライターで、このところ蕎麦の特集を手がけていたから、その話題は普通のことなのだろうが。酒は６０ｃｃグラスで適当な料金だから、普段呑めないものをオーダーできた。海の香りと潮を運んで来てくれた。海の若草がテーブルに匂った。昆布で締めたさゆり、ぶり、マグロ、熟成の味わいだ。もずくをブレンドしたそばがき、面白い逸品だ。ねばりとねばりが絡んでいた。この日、連れと絶賛した一品。はまぐりと菜花のソースそば。平打ちの麺によく絡む、３年ほど前から平打ちが料理と蕎麦の新しい展開を作るのではないかと考えていたが、ひとつの答えを見たような気がした。せいろ粗挽きそば連れが予め頼んでいたようだ。店主がわざわざ京都から仕入れた合鴨だそうだ。脂が甘くてたっぷり汁に落ちていた。醤油を強めにしてあったが、この鴨肉には相応しいマッチングだった。旨い。蕎麦をたっぷり食べた。春の菜花、潮の香り、蕎麦の幸せを感じた。暫く、蕎麦を食べなくても、充実した日々を送れるだろう。東京都墨田区東駒形3-20-6近藤ビル　03-6456-1831前回の記事定休・月　営業夕方５時ごろから深夜（昼は電話で確認を）http://diamond.jp/category/s-sobayahttp://diamond.jp/category/s-sobaダイヤモンド社刊（検索）著作・鎌　富志治（かま　としはる）・夢ハ toshiharu2316@jcom.home.ne.jp close

山介　本所吾妻橋　　旬の若草と潮の香りが、蕎麦から聞こえた。